新型コロナウイルス感染症の影響で消費者の外出自粛や時短営業が続く中、新たにテイクアウトやデリバリーといった中食事業に取り組む飲食店が増加している事実はTVやニュースで報道されているので今更説明は不要かもしれません。
しかし、これまでの売上には及ばない状況に悩む経営者や事業者は日に日に増加していることも事実です。
飲食業のコンサルティングを得意とする船井総合研究所によると、
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この先の未来はテイクアウト、デリバリーをはじめる中小規模の外食事業者でも、戦略次第で平均20万円以上の日次売上を確保できるのではないかと。
実際に新型コロナ対策の中食事業で成果をあげている飲食店の事例をまじえながら、巣ごもり需要獲得の手法を解説する。
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抜粋:https://www.foods-ch.com/gaishoku/1588209247680/
現実的な問題として
テイクアウト・デリバリーのポータルサイトは処理、承認待ちの状態になっています。
新型コロナウイルスによる飲食業への影響が続く中、元々、総菜や弁当販売、デリバリーを専業とする中食の事業者は売上を順調に伸ばしているそうです。
それに対し、営業時間の短縮や休業を求められてテイクアウトやデリバリーをはじめた飲食店の多くは厳しく危険な状況にあるといいます。
この状況下で、どのサービス企業も新規の加盟希望が殺到していて処理が追い付かず、出店登録できない状態が続いているそうです。
ポータルサイト頼みの待ちの姿勢では、売上獲得は期待できない現実にどのように対応していくか。
当座をしのぐためにも、自店の既存のリソースでできる範囲の戦略に打って出るべきだろうというのが専門家の見解です。
船井総研が支援するとんかつ業態の企業は、新型コロナ対策で店内提供からテイクアウト・デリバリー専門に切り替えた初日から15万円以上を売り上げ、今もそのペースを持続させています。
その他でもテイクアウト・デリバリー事業の強化で月商300~500万円の売上を確保できる企業は増えているといいます。
とはいえ、多くの飲食店にとって今いきなりテイクアウト・デリバリー専業に転換するのは現実的に考えてみても難しいのが現状です。
ただ、成功している事例をみると新型コロナの影響下で、消費者ニーズは比較的明確になりつつあります。
それは大きくわけて、家庭向け需要と事業所向け需要の2つです。
家庭向けと一言でいっても、巣ごもり需要には弁当や総菜が求められます。
一方で、買い物にあまり出たくないといった買い置きニーズに対応できるのは、調理済みの冷凍・チルド商品です。
これまでお店で楽しんでいたちょっとしたお祝い事などを家庭に置き換えるなら、オードブルの盛り合わせにニーズがありますし、温かい料理もニーズが高いようですね。
また、役所や医療機関などで出勤を続けている事業所の方々は、飲食店の営業自粛でランチ難民になっています。
そうした方や単身世帯向けには弁当や総菜を売る形になるでしょう。
その他にも、立地によっては寺社やセレモニーホールの法事用仕出しというニーズもあります。
そして何よりポイントとなるのが価格の最適化ですね。
必要以上に価格を上乗せしているお店も見受けられます。
テイクアウト、デリバリーでうまくいかない店舗の多くが、ターゲットの最適価格より高く販売しているために売上が伸び悩むといったケースだといいます。
値段や商品を分析し、立地やターゲットに合った適正価格を示す必要性があると感じますね。
わかりやすく言えば、距離や範囲、立地に応じて価格帯を変更できるのであれば変更して、立地適正も必要ではないか提案していく事も重要です。
ターゲットを絞り、商品開発ができたら集客策にもなります。
コロナショックで苦境にある飲食店のサポート策として、
Googleは検索結果やGoogleマップ上に飲食店のテイクアウト、デリバリー情報を表示している(Googleマイビジネスへ要登録)。
そのほか、Facebook、twitterなどSNSへの投稿、インフルエンサーによる拡散、クラウドファンディング活用といった集客策が考えられるでしょう。
ただし、注意してもらいたいのが、クラウドファンディングは手数料が発生するので、そちらのコストも頭に入れて動くことが大切です。
その際は、自店の看板メニューをテイクアウト用に訴求強化するといった工夫もあるといいでしょう。
参考事例としてあるグルメバーガー専門店の場合、一番人気の「肉尽くしバーガー」にかけるミートソースの量を増やし、より見栄えよい盛り付けに変えるといったテイクアウト向けのブラッシュアップを行ってみたところ。
結果、SNSでの拡散などで売上を前年同月対比200%!
人時生産性は1.5倍という効果を得ています
また、テイクアウトやデリバリーの場合、メインになる客は店舗のあるエリアの在住在勤者なので、当然オフラインでの集客策も必要だとかんがえらます。
同じ店舗でも家庭向け、事業所向けそれぞれに商品開発したのであれば、
チラシも家庭向けポスティング、事業所向けにはFAXやDMを使った集客などが考えられるので用途にあわせた集客法を選択してください。
上記で触れたメニュー開発ですが、参考事例としてシェアしたいと思います。
イクアウトメニューの決め方・価格設定のポイントまとめ
1. メニューは5〜6種類がベスト。極力無駄が出ない組み合わせで。
2. 人気メニューだけでなく、調理のしやすさ・地域性や客層を考慮して選定
3. 価格は通常価格の15%程度安い価格に設定、容器もコストに加えても良い
まずはご自身の店舗で、どのメニューがテイクアウトできるのか、
テイクアウト用に購入した容器の容量も気にしないとお皿以上に入ってしまう時もあるので、それを踏まえた上で実際に何を商品化するか検討します。
商品を決める際のポイントとしたいのは、以下の3点。
1. 人気のある・自信のあるもの
2. なるべく手間のかからない短時間で調理ができるもの
3. 地域性や立地条件を考慮し、客層にあったもの
また、なるべく同じ容器で対応できるメニューにするのもおすすめです。
テイクアウト用の容器には、簡易的なフードパック・電子レンジ対応タイプ・丼型・幕の内型など様々な種類があります。
たくさんの種類を用意するとそれだけ経費がかかりますので、容器は3種類くらいまでに絞れると良いです。
そして、ラインナップはできれば5~6個に絞り込むのがベストです。
なぜかというと、消費者心理として「人は選択肢が多すぎると選べないから」です。
ラインナップはある程度限定したほうが、お客さまにとっても選びやすいものとなります。
価格設定はどうすべき?
メニューが5~6個決まったら、価格を設定して決定しましょう。
店内での飲食と違い、人的サービスがない分、通常価格より15%程度安い価格が求められますが。
見逃しがちな容器の値段はコストですのでお忘れなきようにしてください。
人的がない分、箸、包装、容器。詰め込む人件費、店舗内で召し上がられるより安いかもしれないですが
きちんとコスト計算は忘れないようにしないと、収支で赤字になる可能性が出てきます。
【例】
日替わり定食(通常店内飲食)¥1,000
→ 日替わり弁当(テイクアウト)¥850
支払いがスムーズになるように、計算しやすい税込価格にするのがおすすめです
出来れば、電子決済でよりスムーズにするために申し込みをしておくのも手段です。
お釣りの手間は、お客様が嫌がる時代になっているのと、コロナによる接触を少しでも避ける為と認識してもらえれば良いかと。
●商品の安全性、特に食中毒には細心の注意を
最重要事項は衛生管理です。
作成時間、手袋、アルコールの使用、など何よりも気を付けて、「安心・安全」な食事を提供すること。
究極を言えば、検食をすることを推奨しますが、少なくとも書面に作成した時間やスタッフ手洗いや冷蔵庫の温度チェック表など、保健所が来た時に対応できるようにしておきましょう。
これからの時期は食中毒予防にも配慮しなければなりません。
特に作り置きを販売する場合は、しっかり粗熱が取れてから蓋を閉めましょう。
そして必ず当日中に召し上がっていただくようお伝えしましょう。